fc2ブログ

7・晴れて阿部が江川塾の仲間に

「ここで学ぶのが一番ですか?」

「左様でごわす。だからこそ一小家塾の方は貴方を
 ここへ招いたのではござらぬか?」

黒田がうなずくと大鳥、大山の二人もうなずいた。


大山は阿部の方に手をさしだし

「貴殿も我々と一緒に学ぼうではござらぬか。
 あいにくここは西洋軍学の専門だが外国の真実を知るには
 もってこいの場所でごわす。
 お互い藩のみならず、この広い日の本の為につくそうではござらぬか」

すると大鳥は冗談まじりにつぶやいた。

「もっとも弥助は大砲の事しか頭にはないがの」

「大鳥先生、それはなかでごわす。
 やっとわいにも弟弟子ができて、
 いいとこを見せようと思ったのに・・・」

「おお!そりゃすまんの弥助。
 だが阿部君、せっかくなら了介の弟弟子のほうが
 いいかも知れんぞ!
 弥助は大砲以外は女の事しか教えんぞ!」

阿部はなにか緊張が途切れた感じになり
ぷっ!と口元がゆるみ笑顔になった。

大山は顔を赤くしながら

「先生、もう、からかうのは勘弁でごわす」

「ははは!冗談じゃ弥助。すまんすまん。
 おー!そうじゃ!了介、今晩は阿部君を連れて
 これで酒でも酌み交わしなさい。
 その方がなにかと打ち解けられるだろう」

大鳥は袖から財布を出し黒田に差し出した。

「よかでごわすか?」

黒田は照れた顔で財布を受け取り笑顔になった。

「額は少ないがな。はははは!
 あー、それから、わしはこれから開成所に
 抗議をしに出かけねばならぬから阿部君に塾内の
 案内をしてくれ」

「わかりもしたー!ですが先生・・・」

「ん、なんじゃ」

「その格好で町を歩くのは駄目でごわすぞ、目立ちすぎます」

そのとき大鳥はまだ黒のマンテルとズボンを
着たままだった。







スポンサーサイト



テーマ : 短編小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

なまはげ諭吉

Author:なまはげ諭吉

ランキング
最新記事
最新コメント
カテゴリ
カウンター
月別アーカイブ
最新トラックバック
リンク
RSSリンクの表示